「ユリウス・カエサル ルビコン以前──ローマ人の物語[電子版]IV」読了。
前作の勝者の混迷-ローマ人の物語Ⅲの続編。
舞台は紀元前100年〜紀元前49年。前作の勝者の混迷が紀元前133年〜紀元前63年ということで時期がかぶるが、思いっきりカエサルにフォーカスを当てたストーリー。前作のローマのいわゆる市民vs元老院という内輪もめの時代背景があるからこそ、どのようにしてカエサルが成長して行ったかがすーっと入ってくる。さすが塩野氏。
思いっきり借金しまくり、思いっきり女にモテたカエサルが、37歳にしてようやくその頭角を現し始める。ポンペイウスと比較するとその遅咲きは明らかだが、着実に法に則り、40歳にして執政官となり、ポンペイウス、クラッススと共に三頭政治を成立させ、その野望(ローマの元老院主導による共和制の廃止。ローマの世界新秩序の樹立)に向けてブレなく真っすぐに進む政治家の姿はまぶしい。そして、未知の世界(多種の部族が乱立状態)であったガリアを約10年かけてローマ化した功績は、軍人としての才能も最強だ。そして元老院の審議内容を見える化し、ガリア戦記を刊行し、いわゆるマスコミを利用し市民を味方につける戦略もコレまた凄い。優れた人は、信念を持ちつつ、情報収集能力と情報活用能力に長けているということか。
市民に圧倒的な支持を得たカエサルが、元老院側の伝家の宝刀「元老院最終勧告」によりいよいよ2択の決断を迫られる。
・それに服し、軍団を手放し、元老院との内戦を回避
・それに反し、国賊と見なされても、野望に向かい進む
悩みながらも我が野望に向かいルビコン河を軍隊を率いて渡り始める。「賽は投げられた!」ついに元老院との全面戦争(結局敵は内輪か…)。ますます大きくなってきたローマはこれからどこに向かって行くのか。これからの展開が楽しみやぁ。
今のやり方に疑問を持ち、法に従いつつも着実に野望に向かって進んで行く姿。情報収集と情報活用。そして37歳まだまだこれからやね!いろいろ学ばせてもらいました。
2014年9月14日日曜日
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